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東京地方裁判所八王子支部 平成2年(ワ)635号 判決 1993年2月10日

原告

国立ダイヤモンドマンション管理組合

代表者理事長

木村義三

訴訟代理人弁護士

篠崎芳明

齋藤忠治

小川秀次

被告

岩澤建治

訴訟代理人弁護士

小林清

主文

一  被告は原告に対し、昭和六一年二月一五日から毎月末日限り、月額金七万七〇〇〇円の割合による金員及びこれら各金員に対する平成二年六月六日から支払いずみまで年一二パーセントの割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

三  この判決は仮に執行することができる。

事案の概要と理由

第一請求

一主位的請求

主文第一項と同旨

二予備的請求

被告は原告に対し、昭和六一年二月一五日から毎月末日限り、月額金七万七〇〇〇円の割合による金員及びこれに各金員に対する平成二年六月六日から支払いずみまで年五パーセントの割合による金員を支払え。

第二争いのない事実

一原告は東京都立川市羽衣町二丁目一一番三号にある国立ダイヤモンドマンション(以下、本件マンションという)の区分所有者全員により組織された団体である(請求原因)。

二被告は本件マンションの建設、分譲をなした訴外丸善建設株式会社(以下、丸善建設という)との昭和六〇年一月一七日付け等価交換契約により、本件マンションの地下一階の倉庫、事務室、休憩室及び一階店舗部分(これら専有部分の合計面積は350.05平方メートル・以下、被告専有部分という)の区分所有権を取得し、昭和六一年二月一五日から現在まで被告専有部分を使用しているが、管理費は全く支払っていない(請求原因)。

第三争点

一本件マンションには昭和六一年一月以前から国立ダイヤモンドマンション管理規約(以下、本件管理規約という)が成立、存在し(仮に法定の手続きで成立していなかったとしても、昭和六一年以降、この規約に従って管理が行われ、管理費、補修積立金の支払いなどが行われてきたことからすると、この規約については区分所有者、管理組合による黙示の承認があったというべきである)、その管理規約第一三条は、各区分所有者はその専有部分の床面積の割合に応じた管理費の翌月分を当月末に支払う旨を規定し、その第一四条は、各区分所有者は管理費の一割に当たる金員を補修積立金として、管理費と同時に支払う旨を規定しているが、昭和六〇年八月、本件マンション管理組合が訴外丸善管理株式会社(以下、丸善管理という)と管理委託契約を締結するに際し、管理組合は被告の管理費を地下一階部分につき月額一万八四〇〇円、一階部分につき月額五万一六〇〇円、合計七万円、補修積立金を月額七〇〇〇円、遅延損害金を年一二パーセントと定めた(請求原因・被告の反論・本件マンションにおいては管理費、補修積立金を定めた管理規約は適法には成立しておらず、また仮にそのような管理規約が成立しているとしても、被告の専有部分は他の区分所有者の専有部分とは構造上、機能上、判然と区別され、他の区分所有者の共有する共用部分は被告が利用できないものであるから、被告には他の区分所有者の共有する共用部分の管理、補修のための管理費、補修積立金を全額支払う義務はない)。

二昭和六〇年一月、被告と等価交換契約をなして被告専有部分以外の専有部分を所有していた丸善建設は右等価交換契約に際し、被告に対し、管理費及び補修積立金全額の支払いを免除した(抗弁)。

三本件マンションの共用部分には建物の躯体のほか、屋根、周壁、界壁、エントランスホール、エレベーター、エレベーターシャフト及び機械室、外部廊下及び通路、受水槽室、電気室、管理事務室などがあり、専有部分に属しない付属施設としては給排水設備、電気設備、消防用設備、受水槽、集合郵便受け、屋外階段、共聴アンテナ、ポンプ類、各種配線、植木、ゴミ集積所などがあり、これらを管理、維持するのは毎月、相応の費用の支出、積み立てが必要であり、本件マンションでは昭和六一年二月一五日以降、専有面積一平方メートル当たり月額二〇〇円の管理費の支払い、その一割相当の補修積立金の積み立てが行われてきているが、被告は昭和六一年二月一五日以降、これらの費用を全く支払ってはいないから、被告は右同日以降、本件マンション管理組合(原告)の損失のもとで、法律上の原因なしに、毎月二〇〇円にその合計専有面積を乗じた七万円及びその一割に当たる七〇〇〇円、合計七万七〇〇〇円の不当利得をえている(予備的請求原因)。

四仮に昭和六一年一月以前に本件規約が適法に成立していなかったとしても、本件マンションにおいては平成四年一一月一日の臨時総会において、本件管理規約を可決承認すると同時に、その発効日を同条三九条に規定する昭和六一年一月末日に遡及させることを法定多数で可決した(予備的請求原因)。

五平成四年一一月一日の総会における決議は区分所有者である被告の権利に著しい影響を与えるものであるから、その承諾がない以上、効力を有しない(抗弁)。

第四争点についての認定、判断

一争点一について

<書証番号略>、証人桃崎勝行、同高橋義数、同小澤政吉の証言、被告本人尋問の結果(但しいずれも次記認定に副う部分)及び弁論の全趣旨によると

1 本件マンションは一級建築士である訴外小澤政吉の設計で昭和五九年暮頃、建築確認がとられ、昭和六〇年一月、敷地所有者である被告、訴外親松幸七、借地人訴外古木光義、同古木照子と丸善建設間で等価交換契約が締結され、地権者取得部分以外の分譲が開始されたが、右等価交換契約に際し、被告と丸善建設間で作成された国立ダイヤモンドマンション等価交換契約書(<書証番号略>)には次のような前書き及び条項がある。

前書き

土地所有者である岩澤建治(被告)と建設業者である丸善建設は被告及び親松幸七所有(借地人古木光義、古木照子)の土地に建物(A棟とB棟・A棟が本件マンション)を建築する。

第1条

被告はA棟の敷地に当たる土地につき地上権を丸善建設と準共有し、被告はその対価として丸善建設が建築費を負担して建築するA棟(本件マンション)の一部、B棟全部、A棟の敷地のうちの親松幸七所有地の一部(共有持ち分)を取得する。

第5条

被告はA棟(本件マンション)の地下一階の倉庫など91.86平方メートル、一階店舗258.19平方メートル(合計350.05平方メートル)を取得し、丸善建設は一階店舗53.19平方メートル、二階住居223.85平方メートル、三階住居222.76平方メートル、四階住居222.76平方メートル、五階住居222.76平方メートル、六階222.76平方メートル、七階170.66平方メートル、八階170.66平方メートル(合計1509.40平方メートル)を取得する。

第14条

第1項 本件土地(A棟の敷地)の地上権、所有権、本件建物(A棟)共用部分もしくは付属施設の維持管理、使用については本件土地(A棟の敷地)の地上権、所有権並びに本件建物(A棟)の第三者への分譲時までに丸善建設、被告が協議のうえ、管理規約、管理規定、使用細則などを定める。

第2項 前項により定めた管理規約及び管理規定、使用細則などは被告、丸善建設並びに親松幸七(借地人古木光義、古木照子)を含む本件土地(A棟の敷地)の所有権者、地上権者及び本件建物(A棟)の所有者、占有者の全ての者に効力を有することとし、被告及び丸善建設は本件土地(A棟の敷地)の所有者、地上権者及び本件建物の承継人、譲渡人に対して、その権利義務をそれぞれ責任をもって引き継ぐものとする。

2 丸善建設が建設したマンションは丸善管理に管理委託がなされることが多く、丸善建設管理部では分譲に先立ち、建設マンションの管理規約を作成するのを常としていたが、昭和六〇年に入ってから本件マンションの分譲部分(丸善建設取得部分)の分譲が開始され、これに先立ち、丸善建設管理部は本件マンション用の管理規約(国立ダイヤモンドマンション管理規約・本件管理規約・<書証番号略>)を作成した。

本件管理規約第1条は、この管理規約は区分所有者が建物竣工後、管理組合を組織し、管理組合規約として承継するものである、と規定し、第4条は次記のものは共用部分とする旨規定している。

(1)次の建物部分

躯体、屋根、外周壁、界壁、外部廊下及び通路、電気室、受水槽室、管理事務室、エレベーター、エレベーターシャフト及び機械室、エントランスホール、バルコニー、ルーフバルコニー、パイプスペース、メーターボックスなど

(2)専有部分に属しない建物の付属設備、付属物

共聴アンテナ、高架水槽、受水槽、消防用設備、、エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、屋外階段、各種ポンプ類、各戸別集合郵便受、窓枠及び窓ガラス、主要配管、配線など

(3)専有部分に属しない付属施設及び敷地内施設

植樹、ゴミ集積所、避難通路など

また第5条は敷地の地上権、所有権及び第四条の共用部分は区分所有者全員の共有(地上権については準共有)に属するものとし、この共有、準共有持ち分は、建物の専有部分の総床面積に対し、各区分所有者が有する区分建物の専有面積の割合を一〇〇〇〇〇分比に換算したものとする、旨を規定し、第13条第1項は、各区分所有者は第五条の各区分所有建物の持ち分割合の応じたタイプ別管理費を負担するものとし、同条第2項は、管理費は翌月分を当月末までに支払うものとすることを規定し、第14条第1項は、各区分所有者は、管理費の一〇パーセントの補修積立金を負担するものと規定し、同条第2項は、補修積立金は毎月の管理費の支払いと同時に、支払うことを規定しており、第39条は、この規約は昭和六一年一月末日から効力を発する、と規定している。

3 丸善建設においてはマンション分譲に際してはあらかじめ作成したマンション管理規約、使用細則を取得者に示して説明し、その承諾をとっており、本件マンションの分譲に際しても<書証番号略>(これには前記管理規約のほか、使用細則が印刷されている)を取得者に示して説明し、その承諾をえたが、被告は一般取得者なみに管理費、補修積立金を負担し、支払うことを拒否していたので、丸善建設は被告には<書証番号略>の管理規約を説明したり、承諾を求めることはなかった。

4 昭和六〇年八月頃には、本件マンションの分譲がなされて、被告を含む全区分所有者で管理組合が組織され、管理費、補修積立金負担を拒否していた被告を除く各区分所有者らは<書証番号略>の一の本件管理規約に従って管理費、補修積立金支払いを承諾していたので、同年八月三一日付けで本件マンション管理組合(代表者は当時の理事長斉藤隆男)は丸善管理と管理委託契約を締結して管理委託契約書(<書証番号略>)を作成し、理事長斉藤隆男がこれに署名押印した。

5 本件マンション地下一階には被告の専有部分である倉庫、事務室、休憩室(この面積は合計91.86平方メートル)のほか、共用部分である受水槽、受水槽室、電気室、ドライエリヤ、エレベータービットがあり、一階には被告の専有部分である店舗一戸(コンビニエンス・ストア「いわさわ」で床面積は258.19平方メートル)のほか、非分譲の店舗一戸(53.19平方メートル・薬局)があり、二、三階には分譲各三戸、非分譲各一戸の住居があり、四ないし六階には分譲住居が各四戸あり、七、八階には分譲住居が各三戸あり、屋上には共用部分である高架水槽、エレベーター機械室がある。

6 <書証番号略>の管理委託契約書にはタイプ別管理費が記載されているが、一平方メートル当たりの管理費は住居、店舗、倉庫を問わず、一律に二〇〇円(当初の案では地下一階部分は一平方メートルあたり六五円であったが、後に二〇〇円に修正された)で、専有部分の面積が57.27平方メートルのもの(AタイプとA'タイプ・合計七戸)は月額一万一四〇〇円、専有部分の面積が58.35平方メートルのもの(BタイプとB'タイプ・合計七戸)は月額一万一七〇〇円、専有面積が55.04平方メートルのもの(CタイプとC'タイプ・合計七戸)は月額一万一〇〇〇円、専有部分の面積が53.19平方メートルのもの(Dタイプ・合計四戸)は月額一万〇四〇〇円、被告専有分部分のうち、一階店舗の管理費は月額五万一六〇〇円、地下一階の倉庫などの管理費は月額一万八四〇〇円(合計七万円)、非分譲の住居の管理費は月額一万〇六〇〇円、非分譲の店舗の管理費は月額一万〇六〇〇円と記載されて、定められ、またこれら管理費の一〇パーセントの金額が各補修積立金として記載されて、定められ(遅延損害金は管理費、補修積立金とも年一二パーセント)、昭和六一年二月一五日から管理組合の委託による丸善管理による管理が開始された。

7 この管理に先立ち、被告を除く本件マンションの各区分所有者は<書証番号略>に記載の管理費、補修積立金を毎月末日限り、指定の銀行の預金口座に翌月分を入金するという方法で支払い、丸善管理は同年以降現在まで(昭和六一年二月一五日から昭和六二年一月三一日までが第一期で、以来、毎年二月一日から翌年一月三一日までが一会計年度とされた)、毎年、入金予定の管理費(例年の月額は合計三六万一六〇〇円で、年間四三三万九二〇〇円・これは被告の分も含み、被告からの入金がないので、丸善管理がその分を立て替え支出)と予定される年間支出に基づいて予算書(管理人人件費―被告の妻が暫くの間、管理人を勤めたが、現在はしていない―、事務手数料、管理報酬などの人件費、巡回点検料(日本公害技研が設備の巡回点検)、エレベーター保守費(月2回)、機械管理料(エレベーター、受水槽、火災報知器など機器の異常通報装置の点検)、建物清掃費(エントランス清掃)、受水槽、高架水槽清掃費、防災設備保守費(年一回)、通信費、消耗品費、事務用品、旅費交通費、損害保険料、町会費など)を作成し、これを毎年開催される本件マンションの区分所有者の集会に報告して承認をえ、おおよそ予算書に基づいた支出をなし、例年の集会で予算の執行を報告して、その承認をえていた。

8 本件マンションは一級建築士である小澤政吉が設計したが、同人は被告の希望をいれて、本件マンションの二階以上の分譲住居部分と地下一階及び一階の被告専有部分とは、できるかぎり独立、分離するように心掛けて設計をなした。

その結果、一階の被告専有部分の店舗と一階のほかの部分、すなわち二階以上の住居部分のためのエントランスホール、集合郵便受、管理人室、エレベーター及び非分譲の他の店舗部分(薬局)とはコンクリートの壁で区分され、上水道は本件マンションの三つの量水器に分れて接続され、そのうちの一本は共用のゴミ集積場に、一本は被告店舗用に、一本は住居用の受水槽(これは地下一階にある)に接続し、この受水槽の水は揚水ポンプで屋上の高架水槽に入り、住居に配水されるようになっており、ガスは被告店舗用とほかの住居部分に直接、分岐配管されている。

9 しかしもともと区分所有建物とは各部分が独立した構造を持つことを前提とするものであるから(建物の区分所有等に関する法律第一条)、被告専有部分とその他の専有部分との間に構造や設備上の独立性があって不思議ではなく、また店舗と住居では、法律上の規制も異なるから、相互に相違点が現れて当然であるが、区分所有が一棟の建物の中で構築されるものである以上、通常の建物におけるような構造上や設備上での完全な独立ということは不可能である。

従って専有部分がどこまで及びうるかという問題は残るが、前記管理規約が共用部分とする本件マンションの躯体、屋根、外周壁、界壁などは各独立所有できるものではなく、相互に連結し、一体的に存在するものであり、また電気系統のうち、電話、テレビ共聴用配線、非常警報用配線はいずれも建物屋上から地下まで、一体的に連結設置されており、地下には本件マンション全体のための湧水、雨水用貯水槽と排出用の排水ポンプが設置されており、屋外排水管も建物全体のためのものであり、電気は被告専有部分は専用屋外キュービクル(変電器)を使っているが、この変電器は全体用のテレビ用ブースター(増幅器)や非常警報機器用のL―共用系統とつながっており、また揚水、排水ポンプ、エレベーター用のP―1系統とともつながっており、また本件マンションの裏側入口にはドライエリアがあり、ここには雨水がたまり易いから、湧水、雨水の貯水槽、排水ポンプが必要であり、これは地下に設置されており、被告専有部分からの排水も、住居部分からの排水も共用の排水管で排水されており、ゴミ集積場は被告を含む全区分所有者が利用しており、被告専有部分が他の区分所有者の専有部分から完全に分離、独立しているとは到底いいえない。

10 丸善建設との等価交換契約に際して、丸善建設の塩沢部長から管理費、補修積立金の免除をえたと信じている被告は、自分の専有部分や共用部分のうち自分も使用する箇所(例えばゴミ集積場)に関する費用は支払う気持ちを持っていたが、前記のような<書証番号略>に記載する月額七万円もの管理費全額を支払う気持ちを持っていなかったので(被告以外の地権者は管理費を負担、支払っている)、被告と管理組合やほかの区分所有者との間で意見の対立が生じ、昭和六三年一〇月、本件マンション近くの羽衣会館で丸善建設の塩沢部長、被告、他の区分所有者が出席して説明会が開かれた。

この説明会において、丸善建設の塩沢部長は出席者に対し、丸善建設は被告に対して管理費、補修積立金免除の事実はないと説明し、平成四年一一月一日には被告を含む本件マンション区分所有者の臨時総会が開催され、四分の三以上の法定多数、(建物の区分所有等に関する法律第三一条第一項)で、<書証番号略>の管理規約の昭和六一年一月末日発効を異議なく、承認して、その効力を確認する決議をなした(被告が丸善建設から管理費、補修積立金の免除を受けておらず、また管理費が床面積一平方メートル二〇〇円と全員平等に定められている以上、この決議については被告の承諾は不要と解する)

ことが認められる。

マンションの管理規約は分譲業者が公正証書で設定することができるものであり(建物の区分所有等に関する法律第三二条)、分譲後に区分所有者の集会で規約を設定する場合(同法第三一条第一項)でも、集会は召集手続を省略して開くことができる位のものであること(同法第三六条)及び本件マンションでは被告だけが管理費、補修積立金支払いについての唯一の反対者で、ほかの区分所有者全員は昭和六一年二月一五日の第一期以来、規約規定の管理費、補修積立金を負担、支払い、これを前提として予算が計上され、執行されてきたという前記認定事実を総合すると、管理費、補修積立金に関する本件管理規約は本件マンションの管理が開始された前後に、被告を除く各区分所有者全員が暗に異議なく、承認した結果、本件マンションの管理規約として区分所有者全員に対して規範的効力を有することとなったものとみるのが相当である。

本件マンションにおける共用部分中にはたしかに被告が使用せずにすむものもあるが(例えばエレベーター・しかし本件マンションのような八階建マンションには、マンション全体の資産価値を維持、向上するためにはエレベーターの設置は不可欠であり、その使用の有無や使用の頻度が管理費額を支配するとすると、管理費の決定は不可能となる)、全体的にみれば、これら共用部分は被告を含む本件マンション区分所有者全員の共用部分であり、共有の資産として、全体の管理に服するとする方が望ましく、被告も共用者、共有者の一人として本件管理規約の定めによる管理費、補修積立金を支払うべきである。

二争点二について

被告本人尋問の結果中、この争点に副う部分は証人桃崎勝行の証言及び弁論の全趣旨に照すと採用できず。ほかにこの争点を認めるに足りる証拠はない。

従って争点二の被告の抗弁は採用できない。

第五結論

そうすると、他の争点について検討するまでもなく、原告の主位的請求は理由があることになるから、これを認容する。

(裁判官上杉晴一郎)

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